Q.57 補強土壁工法の軟弱地盤対策

(更新日:2016年1月12日)

 補強土壁工法を軟弱地盤上に構築する場合,どのような対策を施すのですか?

A.57

(1) 概説

補強土壁工法の長所には,従来のコンクリート擁壁と比較して柔構造であるため,基礎地盤の多少の沈下にも追随できる点がある。従って,軟弱地盤上に構築される補強土壁工法の実績は多い。

しかしながら,次のような状況になった場合には,基礎地盤の改良などの対策を施す必要がある。

 

  1. 基礎地盤を含むすべり破壊検討や滑動・転倒・支持力検討等で,所定の安全率が得られない場合
  2. 基礎地盤の沈下検討で,補強土壁に不都合な沈下量が認められた場合。

 

ここでは,補強土壁工法を構築する軟弱地盤対策について,基礎地盤の改良工法の種類,その選定法について述べることにする。

 

(2) 基礎地盤の改良工法

補強土壁工法が構築される基礎地盤改良の目的は,すべり破壊対策と沈下対策に大別される。補強土壁工法が構築される基礎地盤の改良工法でよく使用される工法の種類と効果を表-1に示す。改良工法に種類によっては,得られる効果が異なることは当然であるが,その効果は一般に単一ということではなく,主目的とする効果と,それに付随した二次的効果を併せ持つ場合が多い。表には,主目的とする効果のみ示すことにする。

 

(3) 改良工法の選定

設計では,表-1に示した各種改良工法から,現場条件や目的にあった工法を選定することになる。改良工法の選定に当って考慮すべき項目としては,地盤条件・施工条件・用途上の条件などがある。

以下,各々について説明する。

 

表-1 補強土工法が構築される基礎地盤の改良工法

 

図-1 基礎地盤の改良工法事例

 

a) 地盤条件

地盤条件で考慮すべき事項は,基礎地盤の土質と地盤構成である。

基礎地盤の土質が砂質土の場合には一般には沈下が問題となることはほとんどない。しかしながら,ゆるい状態の砂質土ではすべり破壊や,液状化の恐れがある。適用される改良工法としては,置換工法,深層混合処理工法などがある。一方,基礎地盤が粘性土の場合には,沈下とすべり破壊の両方で問題となることが多く,改良法も締固め以外のあらゆる工法が適用される。

基礎地盤の地盤構成において,軟弱層が浅くて薄い(3m程度以下)の場合には,沈下量も少なく,すべり破壊の危険性も一般に少ない。このような場合に最もよく適用される工法は掘削置換工法である。一方,軟弱層が厚い(3m程度以上)場合には,沈下・すべり破壊の両方で問題となることが多く,よく適用される工法としては深層混合処理工法があり,その他の工法としては盛土材に軽量盛土材を使用する軽量盛土工法などがある。

 

b) 施工条件

施工条件で考慮すべき事項は,工期・材料・施工深度・周辺に及ぼす影響などである。

工期はうまく利用すれば,経済性においても有利になる場合がある。例えば工期が長ければ特別な改良工法を施さなくても,緩速載荷工法で安定を確保しながら盛土することが可能な場合がある。工期を利用した一般的な工法としては,プレローディング工法があるが,補強土壁工法の場合には載荷した盛土を一度撤去してから補強土壁を構築する必要があるので注意が必要である。

改良工法に使用する材料については,材料の入手の難易度や,経済性を考慮する必要がある。例えば設計では掘削置換工法を計画していても,良質土の入手や残土処理が困難な場合,基礎地盤をセメント系固化材などで処理するほうが有利な場合がある。また,軽量盛土材を使用する場合には,地域的に入手できない場合もあるので,あらかじめ入手法を検討しておく必要がある。

施工深度については,掘削置換工法の施工深度は通常3m以下といわれており,それ以上の改良を目的とする場合には,経済性を含めて深層混合処理工法などについて検討する必要がある。また,中間にN値の大きい砂層や礫層があると,深層混合処理工法などの施工法では,その下層の軟弱層を改良することができないものもあるので注意が必要である。

 

c) 用途上の条件

用途上の条件として考慮すべきことは,補強土壁工法の使用目的,使用場所などがある。例えば,道路の路肩部や橋台との取付部では,舗装の平坦性を確保することが重要になるので,十分な沈下対策を施す必要があるが,法尻部ではそうした要求が低いので,沈下が終了するまで舗装を待つ対策を施せば,沈下対策に多額の工費を掛けなくて済ませることができる。用途上の条件を考慮して,そこでの補強土壁の沈下量がどの程度まで許されるかを考慮して工法選定を行うことは重要である。

 

 

 

 

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