Q.36 補強土壁の準備工における注意点

(更新日:2009年3月16日)

 補強土壁施工の準備工において,注意すべき点にはどのようなものがありますか?

A.36

準備工で注意すべき点を以下に述べる。

 

(1) 工事準備測量

  1. 特に壁面の設置位置の地形を縦断方向に入念に測量しなければならない。これは,現地の地形が設計図と大幅に異なることがあれば,壁面材や補強材の製作変更をしなければならないことがあるからである。

図-1 壁面設置位置の測量(補強土壁工展開図)

  1. 排水施設や道路付近施設の基礎などの埋設物を補強土壁盛土内に設置しなければならない場合には,埋設位置・設置勾配・形状寸法等を正確に測量しておかないと,補強材が所定の位置に取り付けられない場合が生じることがあるので注意する。
  2. 既設構造物に近接して工事を行う場合には,所定の補強材長さ分の地山掘削を行うことにより,近接構造物に影響を及ぼさないか,また設計図と実際とに違いが無いかなど,十分に確認しておく必要がある。

 

(2) 部材の準備及び仮置き

  1. 壁面材は,一般的に重量の割りにかさばる場合が多いので,運搬・仮置き作業は慎重に行う必要がある。仮置き場所は,水平で平らな場所を選び,地面に接しないように角材等を敷くものとする。

写真-1 壁面材の仮置き(コンクリートパネルの場合)

 

  1. 補強材は,ジオテキスタイル以外は鋼製でたわみやすく,しかも長尺(最大7~8m)であり,運搬・仮置き作業は慎重に行う必要がある。仮置き場所は,水平で平らな場所を選び,地面と接しないように角材等を敷き,降雨に曝されないようにシートで覆う。また,表面は亜鉛メッキが施されているため,メッキが損傷しないように取り扱うものとする。さらに,積み重ねておく場合には使用順序を考えて,使用する際に間違わないように注意する。

写真-2 補強材(ジオテキスタイル)

写真-3 補強材(帯鋼)の仮置き

 

  1. 盛土材が設計に用いた土質定数を満足しているか,施工に先立って土質試験を行い確認しなければならない。この結果,所定の土質特性を満足しない場合には,設計変更,客土の検討,盛土材の改良などの対処が必要である。
  2. その他の諸部材としては,ボルト・ナット,透水防砂材,水平目地材,植生マット等がある。これらは紛失しやすいので屋内に保管しておき,その日の作業に必要な量だけ現場に準備するのがよい。

 

(3) 施工機械・道具の準備

補強土壁の施工は,通常の土工事と比較して,本工法の原理をわきまえた丁寧な作業が要求され,しかも限られた作業スペースの中で効率を上げるためには,どのような施工機械を配置すればよいか的確な段取りが必要である。施工機械は,壁面を前面に押し出すことがない大きさで,所定の締固め度が確保できる規格のものを選定することが必要である。

また,施工に必要な道具は工法により異なっているので,事前に必要なものを調査して準備しておく必要がある。

写真-4 補強土壁における施工機械の使用例

 

 

 

 

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