Q.44 全体安定検討のすべり破壊に対する安定計算の種類と比較

 (更新日:2015年10月19日)2014年マニュアル改訂 対応

 補強土壁を含む盛土全体のすべり破壊に対する安定計算にはどのような方法がありますか?また,それぞれの計算結果の比較について教えてください。

A.44

(1) すべり破壊に対する安定計算の種類

通常は簡便分割法による円弧すべり計算を行うが,土中に敷設されている補強材の効果を計算に反映する方法には,次の3種類がある。

  1. 補強材が敷設されている範囲には,すべり面が侵入しないと考える方法。
  2. 補強材が敷設されている範囲には,見かけの粘着力c’(または,補強せん断強度増分)が存在すると考える方法。
    補強材の補強効果による見かけの粘着力c’は次式により算出している。
    数式1
  3. すべり面より後方にある補強材に発生する抵抗力が抵抗モーメントとして働くと考える方法。
     補強材を考慮した円弧すべりの基本式を以下に示します。
    数式2

(2) 安定計算結果の比較

帯鋼補強材(ストリップ)を使用した補強土壁の同一断面で,(1)の2法と3法によりすべり計算を行った場合の計算結果を図-1に示す。なお,ここでは壁面最下端を通過するすべり面で計算した。

図-1 補強材効果の比較断面図

図-1 すべり計算における補強材効果の比較図

 

図-1より,2法による最小すべり安全率は,3法による最小すべり安全率よりも大きくなった。これは,2法による補強効果は補強材の引張り強度だけを考慮しているが,3法による補強効果では,補強材の引張り強度と引抜き抵抗力の両方(両者のうち小さい方)を考慮しているためである。

 

2014年の補強土壁主要3工法の設計・施工マニュアル改訂以前は,工法によりすべり計算の手法が異なっていた。具体的には次のように実施していた。

 

 

しかしながら,2014年の補強土壁主要3工法の設計・施工マニュアル改訂以後は,3工法とも共通で,3法によるすべり計算を実施している。

 

 

 

 

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一口に補強土壁工法といいましても,数多くの種類(30工法程度)があり,各々の工法が持つ特性も異なっています。

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