(更新日:2019年10月18日)
(1) 作業能力算定の基本
土工は,面的土工と線的土工に分けられ,道路土工では大規模な宅地や工場用地の開発等とは異なった工法が採用され,これを一般的に線的土工と呼んでいる。
単独の建設機械または組み合わされた一群の機械の作業能力は,時間当たりの平均作業量で表現するのが実用的であり,日当たりあるいは月当りで作業能力を表す場合の基本となっている。
また,作業量は出来形の状態を考慮して,掘削・積込みにおいては地山の土量,盛土締固めにおいては締固め後の土量等で表される。
作業能力の算定方法には,その現場あるいは作業条件が類似した現場の信頼できる作業実積から推定する方法,および各種のデータをもとに作られた実用算定式を用いて算定する方法がある。
(2) 作業能力算定の基本式
一般に,時間当たり作業量は次式で表される。
Q=q・n・f・E | |
ここに, | Q:時間当たり作業量 q:1作業サイクル当りの標準作業量 n:時間当たりの作業サイクル数 f:土量換算係数 E:作業効率 |
i )建設機械の運転時間
建設機械の時間当たりの作業量は,建設機械の運転時間当たりとするか,実作業時間当たりとするかによって異なった値となる。建設機械の作業能力は,建設機械経費の算定等とも関連があり,運転時間当たりで算定するのが一般的である。
ii )時間当たり作業量Q
土工における作業量は,m3/h単位で表現されるのが一般的である。このように,作業量で表す場合には,地山の土量,ほぐした状態での土量,締固め後の土量の3種類の表現方法がある。
iii )1作業サイクル当たりの標準作業量:q
建設機械は,一般に一連の動作の繰返しにより作業を行う。この一連の動作の1回(1サイクル)でなされるある標準的な作業量を,1作業サイクル当たりの標準作業量という。一般にqが土量の場合,土はほぐされた状態で表現することが多い。
iv )時間当たりサイクル数:n
時間当たり作業サイクル数は次のように求められる。
n=60/Cm(min) または,3600/Cm(sec) | |
ここに, | Cm:サイクルサイム(min または sec) |
v )土量換算係数:f
求める作業量Qと,その算定に用いるqが同一の土の状態で表される場合にはf=1でよいが,異なる場合には表-1に示す土量換算係数を用いる必要がある。
表-1 土量換算係数fの値
求める作業量 | ||||
地山の土量 | ほぐしたの土量 | 締固めた土量 | ||
基準の 作業量 |
地山の土量 | 1 | L | C |
ほぐした土量 | 1/L | 1 | C/L | |
締固め後の土量 | 1/C | L/C | 1 |
注)L・Cは,土量変化率
vi )作業効率:E
建設機械の時間当たり作業量Qは,建設機械固有の一定な値ではなく作業現場の各種の条件によって変化する。このため,求める時間当たりの作業量は,建設機械の標準的な作業能力にそれぞれの現場の状況に応じた作業効率Eを乗じて算定する方法が用いられる。作業効率Eに影響を与える要因としては,次のようなものがある。
なお,作業効率は次のように分解して用いることもあるが,実際にこれを区分して用いることは困難なことが多い。
作業効率 = 現場作業能力係数 × 実作業時間率 |
実作業時間率 = 実作業時間 / 運転時間 |
作業効率は,算定される作業量に与える影響が極めて大きいので,算定上の運用に当たっては過去の実積や経験をもとに,その現場の各種条件を勘案して慎重に取り扱わなければならない。
参考文献
・社団法人日本道路協会:道路土工要綱(平成21年度版),pp300-303,2009.6
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