(更新日:2013年12月17日)
ジオテキスタイルの検討における設計引張強さは,単に最大引張強さを用いるのではなく,次式に示すように,クリープや耐久性あるいは施工中の損傷などを考慮した材料安全率を考慮して決定する。
TA= | Tmax
Fcr・FD・FC・FB |
ここに,
TA : ジオテキスタイルの設計引張り強さ(kN/m)
Tmax : ジオテキスタイルの最大引張り強さ(kN/m)
Fcr : クリープを考慮した材料安全率
FD : 耐久性を考慮した材料安全率
FC : 施工中の損傷を考慮した材料安全率
FB : 接合部の強度低下を考慮した材料安全率
なお,材料安全率は次のように求める。
(1)クリープを考慮した材料安全率
クリープを考慮した材料安全率Fcrを求める時,1,000時間以上の長期計測を実施することが望ましい。通常は1.67程度の製品が多い。
(2)耐久性を考慮した材料安全率
日光や土中での化学的・生物学的作用による長期的な材料の劣化特性を考慮した安全率FDについては,これまでFD=1.0~2.0の範囲のデータが報告されている。日光の直射を避けるなど,適切な処置を施したジオテキスタイルで通常のpH5~9の土中で使用する場合には,材料の強度劣化の影響は少ないと考えられる。
(3)施工中の損傷を考慮した材料安全率
施工中の損傷を考慮した材料安全率FCについては,砂質土や粘性土などの一般的な土質材料の場合には,施工中ジオテキスタイルの損傷は少ないので,FC=1.0と考えてよいと思われる。しかし,岩ずりや礫混じり土などを用いる場合には,施工中の損傷による材料の強度低下のおそれが十分に考えられるし,またそうした試験施工の結果も得られている。したがって,ジオテキスタイルの損傷の受けやすさの程度を把握したり,現場の施工条件を再現した試験施工を行って損傷の実態を明らかにし,その結果をもとに,しかるべき材料安全率を見込んだり,適切な施工上の工夫を行う必要がある。
(4)接合部の強度低下を考慮した材料安全率
接合部の強度低下を考慮した材料安全率FBの値は,原則として接合部の引張り強度試験を行って決定する。
弊社では、補強土壁工法の断面検討、比較検討、詳細設計など承っております。
補強土壁工法とは,壁面材,補強材,及び盛土材を主要部材とした擁壁の1つです。
一口に補強土壁工法といいましても,数多くの種類(30工法程度)があり,各々の工法が持つ特性も異なっています。
さらに設計法についても統一したものがなく,各工法により異なった手法を採用しているのが現状です。
このような状況において,現地に適した補強土壁工法を選定するためには,各工法の特性と現場における各種条件を整理して,十分検討する必要があります。(参考:工法選定の問題点と正しい選定法)
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