セメント系固化材（取扱いの留意事項）
（更新日：2022年11月22日）
(1) 目的外使用の制限
- セメント系固化材は，地盤改良用途として使用する。
- セメント系固化材をモルタル・コンクリート等に用いると，要求される強度・耐久性を満たさない可能性があるため，絶対に使用してはならない。
(2) 品質の選定
- セメント系固化材は，下記に示す用途や機能に合わせた品種等を選定することで十分な効果が発揮される。
- 汎用固化材（特殊土用，一般軟弱土用） （用途別）
- 高有機質土用固化材 （ 〃 ）
- 発塵抑制型固化材 （機能別）
- 品種ごとの用途範囲外で使用すると，固化不良や膨張を起こす恐れがあるので注意する。
- 固化対象土や現場環境に適用したものを選定することが重要である。
(3) 六価クロム溶出量の確認
- セメント系固化材は，下記通達に準拠し，必要に応じて事前に六価クロムの溶出試験を実施し土壌環境基準値を超えないことを確認して使用する。
〔国土交通省等の通達〕
- 「セメント及びセメント系固化材の地盤改良への使用及び改良土の再利用に関する当面の措置について」
- 「セメント及びセメント系固化材を使用した改良土の六価クロム溶出試験要領（案）一部変更について」
(4) 荷姿の選択
- セメント系固化材は，下記の荷姿がある。施工規模や使用方法などの現場条件に合ったものを使用する。
- 紙袋（25kg袋）
- 1t フレキシブルコンテナバック（通称：フレコン）
- バラ（ローリー車）
(5) 貯蔵
- セメント系固化材は，通常のセメントと同様に貯蔵する。
- 25kg袋やフレコンの貯蔵は，パレット等の上に置き，地面に直接置くことを避ける。
- 降雨の恐れや湿度が高い場合は，ビニールシート等で養生する。
(6) 散布（施工）
- 散布は，均一に行う。
- 所定量を正確に散布する。
- 粉体の飛散に留意すべき場合（住宅に隣接する工事現場等）は，発塵抑制型固化材を使用するか，スラリー添加による 施工を採用するなど。
(7) 混合（施工）
- 所定の添加量で固化材と改良対象土の色むらが無くなる程度まで均一に混合攪拌する。
- 固化材と対象土との混合攪拌が不良の場合や固化材を過剰に添加した場合には，膨張を起こす恐れがあるので注意する。
- 混合は，施工方法（混合機械）によって強さ比が変わる。自走式土質改良機を使用すれば，均一に混合でき大きな強さ比を得ることができる。よって，混合の施工方法は適切に選定する必要がある。
(8) 安全衛生（施工）
- 各セメントメーカーより提供されている「安全データシート（SDS）」を参照する。そこには，下記の記述がある。
〔安全データシート（SDS）〕
- 不燃性であり，通常の取扱いでは危険な製品ではない。
- 水と接触すると水酸化カルシウムを生じ，強いアルカリ性（pH12～13）を呈し，目・鼻・皮膚に対して刺激性がある。
- ごく微量のクロム化合物が含まれており，六価クロムに対して過敏である場合にはアレルギーが起こる可能性がある。
- 取り扱いの際は，適切な保護具（手袋，長靴，保護メガネ，防塵マスク等）を着用する。
- セメント系固化材を製造・取り扱う場合は，施工環境を考慮し，リスクアセスメントを実施する必要がある。
(9) フレコンの取扱い
- フレコンは，下記のタイプがある。
- ワンウェイタイプ（1回使用）
- ランニングタイプ（繰り返し使用） … 繰り返し使用するため，丁寧に取り扱う必要がある。
- フレコンは重量物であるため，図－1のように安全管理によく配慮して取り扱う。
図－1 フレコンの取扱い方法
参考文献
- 一般社団法人 セメント協会：セメント系固化材による地盤改良マニュアル第5版，pp27～30，2021.10
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