(更新日:2021年5月24日)
(1) サンドコンパクションパイル工法とは
サンドコンパクションパイル工法(以下,SCP工法と称する)とは,地盤内に鋼管を貫入して管内に砂等を投入し,振動により締め固めた砂杭を地盤中に造成する工法である。改良原理は異なるが,砂質土地盤と粘性土地盤の両方に適用できるという特徴がある。SCP工法の適用に当たっては,土構造物の安定性を確保できるように改良範囲および改良仕様を適切に設定しなければならない
a) 砂質土地盤
打設時の振動による締固め効果と砂の圧入による締固め効果を併用したものであり,砂質土地盤の間隙比を小さくし,密度を高めせん断強度の増大を図る。
b) 粘性土地盤
軟弱な粘性土地盤中に多数の砂杭が打ち込まれると,砂杭と粘性土により構成された複合地盤となる。この複合地盤上に載荷すると,砂と粘性土とはその剛性が異なるため,載荷重は剛性の高い砂杭に多く分担される。その結果,粘性土が負担する応力は低減し,圧密沈下量も小さくなる。また,原地盤の粘性土よりせん断強度の大きな砂杭を造成するので,粘性土と置き換えた分だけ地盤の強度は増加する。
(2) 設計
a) 砂質土地盤
砂質土地盤に対するSCP工法の設計に当たっては,改良後に必要なN値を設定し,それを満足するためのサンドコンパクションパイルの置換率を求める。砂質土地盤におけるSCP工法の改良原理は,図-1に示すように砂杭打設により間隙比の減少を図るものである。
図-1 砂質土地盤でのSCP工法の改良原理
b) 粘性土地盤
粘性土地盤に砂杭が打設された複合地盤の沈下や盛土の安定照査に当たっては,砂杭への応力集中による沈下の低減とせん断抵抗の増加を考慮して検討する。
(3) 施工
SCP工法の施工は,主として図-2に示すようにケーシングパイプの引抜きと打戻しを繰り返して砂杭を造成する方法(打戻し締固め方式)が用いられている。
陸上工事おける改良深度は図-3に示すようにサンドドレーン工法と同じく,標準施工機械で25m,特殊施工機械で45m程度であり,φ400mm~φ500mmのケーシングパイプを用いてφ700mm程度の砂杭を造成する。図-2の中にはケーシングの先端軌跡を示している。サンドドレーン工法と違って,SCP工法ではケーシングパイプの打戻しの手順が加わることが特徴である。
図-2 SCP工法の施工手順
図-3 振動式施工機械の構成
(4) 施工上の留意点
① 砂杭の打設間隔(間隔),深度を綿密に管理する。
② 打設れた砂杭が所定の直径に造成されているか否かを,投入砂量と仕上がりの深さの関係(各深度ごと)から確認する。
③ 粘性土地盤の場合,砂杭の打設によって粘性土が攪乱されて強度が著しく低下する場合があるので,原位置試験などを実施して粘性土の強度の回復状況を確認した後,盛土の施工を行うことが望ましい。
④ 被圧帯水層に砂杭を貫入すると,砂杭沿ってボイリングを生ずることがあるので注意する必要がある。
⑤ 振動,騒音等周辺環境の影響に十分な配慮が必要である。
⑥ 施工中おける周辺地盤の影響(側方変異,盛り上がり)に対して十分に配慮し,必要に応じて遮断用のトレンチを掘るどの対策が必要である。特に,近接して構造物(建物,埋設物,水路等)がある場合は,注意する必要がある。
⑦ サンドドレーン工法と同様に,施工機械のトラフィカビリティー確保に留意する必要がある。
参考文献
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