(圧密・排水工法)サンドドレーン工法

(更新日:2021年7月20日)

(1) サンドドレーン工法とは

サンドドレーン工法とは、バーチカルドレーン工法に位置付けられ、透水性の高い砂を用いた砂柱(以下、サンドドレーンという)を地盤中に鉛直に造成することにより、水平方向の排水距離を短くして圧密を促進し、地盤の強度増加を図る工法である。サンドドレーンの施工方法により、バイブロハンマ式、オーガ式および袋詰め式に分類される。

サンドドレーン工法の適用に当たっては、土工構造物の安定性を確保できるよう改良範囲や砂杭の配置、打設深度、使用する材料および施工方法を適切に設定しなければならない。

 

(2) 設計

サンドドレーンの設計は、粘性土の強度増加を考慮した盛土の安定や残留沈下量の検討から目標とする圧密度の検討を行う。そして、圧密度と圧密時間の関係を計算して、目標圧密度を満足するドレーンの打設間隔等を設定する。そのうえで、具体的な改良仕様に基づいて安定および沈下の検討を行い、設定値が妥当であるかを確認する。目標となる圧密度は通常、80~90%程度に設定することが多い。圧密放置時間は計画工程によるが、最短で3ヵ月、通常は6ヵ月から1年程度が多く、その期間内で目標圧密度を満足するドレーン仕様を検討する。

サンドドレーンの配置と圧密排水状況の例を図-1に示す。

 

図-1 サンドドレーンの配置と圧密排水状況の例

 

(3) 施工

① サンドマット

サンドドレーンの施工に先立って、地盤の表面にサンドマットを施工する。
盛土幅が広くて排水距離が長い場合は、特に透水性の高い材料を用いるか、地下排水溝を併設するなどして盛土内に地下水位を形成しないようにする。

② サンドドレーンの施工

サンドドレーンの施工方法は、バイブロハンマ式、オーガ式、袋詰め式に区分される。
いずれの方法においても施工深度は、30~40m(最大45m)程度まで可能である。ただし、深い深度までの改良を計画する場合、施工機械の汎用性等について調査する必要がある。

 

(4) 施工上の留意点

① 打込み・引抜き速度

サンドドレーンの打込み速度には特に制限はないが、ケーシングの引抜き速度は、砂の充填の速度および圧縮空気圧と関連して十分余裕をとった速度とし、サンドドレーンが切れ目なく施工できるようにしなければならない。

② 砂の充填と砂量の管理

砂の充填は、1回の投入量を一旦バケットに入れて軽量した後、バケットを吊り上げてホッパーに投入するなどの方法がある。現在ではケーシング内に設置した砂面計で砂の投入量を測定することが一般的である。

③周辺構造物の対策

バイブロハンマ式サンドドレーンでは、ケーシングを地盤中に圧入することによる周辺地盤の変形や施工時の振動により周辺構造物に影響を及ぼすことがあるので、必要に応じて遮断用のトレンチ等の対策を施す。

④ トラフィカビリティー

打設長が長くなると施工機械の重量が大きくなり、その結果、施工機械が不安定となり転倒する恐れもあるため、事前に調査を行って施工機械のトラフィカビリティーが確保できることを確認しておく必要がある。トラフィカビリティーが確保できない場合、サンドマットや敷鉄板の敷設等、適切な対策をとる必要がある。また、打設直後は地盤強度が低下している可能性があるため、トラフィカビリティーが確保されている場合においても敷鉄板を使用することが望ましい。

 

 

参考文献

 

 

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