(更新日:2021年9月27日)
(1) 真空圧密工法とは
真空圧密工法は,改良対象範囲に鉛直ドレーンを打設し,サンドマットあるいは地表面に敷設した水平ドレーン材と連結させた後,気密シートで覆い50~80kN/㎡程度まで真空ポンプで減圧することで,大気圧を載荷するとともに,地盤に含まれる水や空気を強制的に排出し,圧密促進および強度増加を図る工法である。
真空圧密工法の適用に当たっては,土工構造物の安定性を確保できるよう真空圧,真空圧載荷期間,改良範囲,改良深度,鉛直ドレーン打設間隔および打設深度等を適切に設定しなければならない。
この他に,気密シートを使用せずにドレーン材の1本ごとに気密キャップを接続する工法がある。気密シートを用いる工法と気密キャップをドレーン材に接続する工法の概要を図-1に示す。
図-1 真空圧密工法の概要
(2) 設計
真空圧密工法の設計は,サンドドレーン工法と同様に,粘性土の強度増加を考慮した盛土の安定や残留沈下量の検討から目標とする圧密度の検討を行う過程と,目標圧密度を満足するために鉛直ドレーンの打設間隔等の仕様や真空圧の載荷期間,盛土載荷重工法の併用の要否および周辺地盤への影響等の検討を行う過程からなる。
(3) 施工
真空圧密工法の施工手順を以下に示す。
① ドレーン打設機により,基盤改良が必要な深さまで鉛直ドレーンを打設する。
② 有孔集水管・水平ドレーンを敷設し,鉛直ドレーンの頭部と連結する。
③ 改良範囲全面を気密シートで覆う。もしくは,排水ホースと鉛直ドレーンを結合し粘土層で覆う。
④ 真空ポンプで気密シートもしくは排水ホース内を減圧(50~80kN/㎡の負圧)することで大気圧を作用させ,軟弱地盤を圧密させる。
⑤ 所定の圧密沈下量や強度増加が確認された時点で真空圧載荷を終了する。
(4) 設計・施工上の留意点
a) 表層付近の状況
表層付近に,気密シートを破損する恐れのある突起物,廃棄物,ガラおよび異物等が混入している場合や,地下排水溝が存在する地盤の場合には,気密性の確保が難しくなることがある。これらの存在が懸念される場合は,事前に試掘を行い,廃棄物等を撤去するなどの適切な処置を行う必要がある。
b) 透水性地盤の存在
真空圧密の対象となる地盤内に透水性の高い砂礫層等が堆積していると,多量の地下水を吸い続けるため所定の真空圧の維持が困難となることがある。また地下水の低下によって周辺地盤の沈下も懸念される。そのような場合には,矢板などで施工区間を囲むなどの止水対策の検討が必要である。
参考文献
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