(更新日:2021年10月12日)
(1) 地下水位低下工法とは
地下水位低下工法とは,地盤中の地下水位を低下させることにより,それまで受けていた浮力に相当する荷重を下層の軟弱層に載荷して,圧密を促進するとともに地盤の強度増加を図る工法である。
地下水位低下工法は,軟弱な地盤上に直接盛土荷重を載荷せずに,圧密の促進や強度増加が図れるため,すべり破壊が生じる恐れのある軟弱地盤に対して,より安定な状況で施工することが可能である。地下水位低下の方法としてはウェルポイント(図-1参照)やディープウェル等が一般的であるが,より深くまで排水する必要がある場合には高揚程のウェルポイント等が利用される。
地下水位低下工法の適用に当たっては,土工構造物の安定性を確保できるよう地下水位低下高さを適切に設定しなければならない。
図-1 ウェルポイントによる地下水位低下工法の概要
(2) 設計
地下水位低下工法の設計は,真空圧密工法と同様の手順で行い,目標とする有効応力増加分を満足できるような地下水位低下量および水位低下期間を設定し,ウェルポイントやディープウェルの設置期間や設置間隔およびポンプ能力等を検討する。
(3) 設計・施工上の留意点
① 当工法は,対象とする砂層の透水係数がκ=10-3~10-6(m/sec)のオーダーを有する場合に効果的である。
② 地表面に真空装置を置いて揚水する一般のウェルポイントを用いる場合,揚水できる理論的な深さは約10mであるが,損失水頭や動力の関係から低下できる水位は,一般に5~6m程度である。
③ 地下水補給源(川,池,海等)が近い場合,必要揚水量は極めて多くなる。
④ 地下水位の低下が対象区域外に及び,周辺に被害を与える場合がある。したがって,周辺への影響を遮断してより効果的に地下水位を低下させるためには,矢板等で施工区間を囲むなどの止水対策が必要である。
⑤ 圧密期間中は地下水位を低下させておかなければならないので,圧密期間が長期となる場合は運転経費が高くなる。
参考文献
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補強土壁工法とは,壁面材,補強材,及び盛土材を主要部材とした擁壁の1つです。
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