(更新日:2018年3月7日)
必要抑止力(Pr)とは,計画斜面または現況斜面に対して,計画安全率を満たすために不足している抑止力をいう。これは,円弧すべり試行計算等により求まる最も大きな抑止力である。必要抑止力の計算式(例)を(式-1)に示す。
図-1 スライス分割法による安定計算 |
ただし,Ni(法線力),Ti(接線力),(すべり面力)は,すべり面形状から求められる値である。一般に,最小安全率を与えるすべり面と計画安全率に対して必要な最大抑止力を与えるすべり面とは異なる(同じ場合もある)。
グラウンドアンカー工や切土補強土工(鉄筋挿入工)などの斜面補強工では,最大抑止力の円弧に対して計画安全率を満たす構造を検討する。検討の留意点として,最大抑止力の円弧に対して計画安全率を満たす構造は,斜面の補強後において,最大抑止力円弧以外の円弧すべり検討において,計画安全率を満たさないことがある。その場合は,補強後の円弧すべりが計画安全率を満たすよう,抑止構造を見直す必要がある。
また,「東日本高速道路㈱他:切土補強土工法設計・施工要領」では,切土補強土工の適用の目安として,必要抑止力300kN/m以下,崩壊長さL=30m以下(図-2参照)と記述している。それを超える場合は,グラウンドアンカー工等の他工法を適用する。
図-2 斜面の崩壊長さ
参考文献
・東日本高速道路㈱他:切土補強土工法設計・施工要領,pp23-34,2007.1
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