日本工業新聞に記事掲載

日本工業新聞2003年3月11日の記事より

フォーカス 伸び盛り企業 [50]

補強土壁工法が専門の精鋭集団 補強土エンジニアリング

設計法は30種類

道路を中心に、土地造成、鉄道、産業施設などの土留め壁に、補強土壁工法が注目を集めている。

補強土壁工法とは、土の中に土以外の補強材を敷設・挿入し、土や盛土材との相互利用によって土を補強する工法。七二年にフランスから導入され、これまでの施工件数は三万二千件を超える。

しかし、およそ三十種類あるとされる補強土壁工法だが、設計法に統一した手法がなく、工法ごとに異なった設計手法を採用している。そのため工法ごとの安定性が異なっていたりする。さらに、公共事業のコスト縮減要求が強いため、経済性のみを追求し、その現場に適した工法が採用されないケースもあり問題となっている。

大阪市に本社を構える「補強土エンジニアリング(リーコム)」では、経済性とともに安定性や耐久性、環境との適合など、現場にあった工法の設計と選定を行うことで、ベストな工法を提供している少数精鋭の建設コンサルタント集団だ。

補強土壁工法関連に絞り込んだ建設コンサルタントは国内ではリーコムのみ。それゆえの高い専門性を武器に、全国の建設コンサルタントに確固たる信頼を築き上げている。

同社の業務は、「設計」「調査」「ソフト作成」「その他の関連業務」の四つに分類される。

設計業務においては三十を超える工法すべての設計が可能。そのなかでも特徴的なのが、工法選定業務だ。これは設計・施工条件、築造目的に基づき、総合的にベストな工法を選定している。

調査業務では、補強土壁工法の主要部材である盛土材の調査を主に行う。そして、あらゆる工法の設計を自社で行うべく、設計計算のための「ソフト作成業務」。ここで開発されたソフトは、外販もしている。

「その他の業務」は、同社のもう一つの専門である軽量盛土工法の設計が中心となる。軽量盛土工法は、補強土工法と同様に擁壁として用いられる事が多く、EPS(発泡スチロールブロック)、発泡ウレタン、気泡混合軽量土などを使用。補強土壁工法では構築不可能な場所でも、軽量盛土工法では構築可能な場合もあり、業界で注目されている工法だ。

進む社内での技術伝承

設立は九六年。バブル崩壊後の厳しい経済状況の中を着実に前進してきた同社だが、「ここ数年は公共事業の見直しなど厳しい状況にある。だが、われわれはほとんど影響を受けずにこられた。ただこれからが本当の勝負だと思ってる」と小川憲保社長は力を込める。その厳しい競争に勝ち抜くために、社内勉強会の充実、ベテラン社員の技術の若手社員への伝承で、企業としてさらなる技術向上に力をいれている。

補強土壁工法・軽量盛土工法という絞り込んだ領域のなかで技術を深め、市場を広げていくという戦略によって、「技術のリーコム」の浸透を狙う考えだ。

(チャレンジ企業取材班)

 

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